2017年12月21日木曜日

SAEC Tone Arm の思想

SAEC WE-308を整備し、テストした。

SAEC WE-308 オーディオの足跡
http://audio-heritage.jp/SAEC/etc/we-308.html

























SAEC WE-308 early type.
ほとんど直管に見える、アームパイプに注意。
ヘッドシェル、フォノカートリッジ取り付け用の溝は、
ユーザーがカートリッジの角度を増やし、トラッキング・エラー角を
調整するためにある。

WE-308 looks almost "straight type tonearm".
User can add offset angel by using genuine head shell.




























このトーンアーム、机の上に置いて一年以上見続けていたのに。
テストするまで、本質に気がつかなかった。

WE-308は、ユニークなダブルナイフエッジを採用している。
高感度と、高い剛性、安定性を両立させたアーム、と言うのが世間の評価。

ところが、WE-308の本質はそうではなかった。
WE-308は、実質、ストレート・タイプのトーン・アームだと思う。
外観はわずかな角度が付けられたJ字型だ。12度。
私はネックのオフセット角度の小ささよりも、後部カウンターウェイト
接続部のわずかな角度が気になっていた。
「物理的に意味があるとしても、わざわざ角度を付ける必要があるか?
これを無しにすれば、工作はもっと楽になるのに」

今でも後部の角度にどれくらいの意味があるかはわからない。
しかし、WE-308の本質は、わずかに付けられたネックのオフセット角だった。

取付マニュアルの通り、モーター中心からの距離を測り、アーム本体を取り付ける。
その後、スタイラスのオーバーハングを調整する。
その上で、レコードを演奏してみるが。
見かけのトラッキング・エラーが大変大きい。「何かの間違いでは?」

全体の取付位置を俯瞰するが、問題は無さそう。
どういうことなのだろうか?

webを漁り、ようやく理解する。WE-308は、トラッキング・エラーの
補正をレコード内周に行うことに重きを置いたアーム。
メーカー資料の通り、最内周でトラッキングエラーがほぼゼロになる。
その利点のネガティブとして、スタート付近からは大きなトラッキングエラーが
生じることになる。

こんなのアリか?

日本のサイトでは、この点に関して触れた記述は大変少ないが。
海外でははっきりと「WE-308って、おかしいよ!」という意見があった。

  WE-308のアライメントはヘンだ!
  The SAEC WE-308 has a very odd and undesirable alignment
  https://www.audioasylum.com/audio/vinyl/messages/78/788115.html


WE-308設計者で、SAEC社長 田中氏のトーンアームに関する
テキストテキストがある。
  
  「よい音のするアームとはどのようなものか」
  田中栄 オーディオピープル VOL.9

要約すると「フォノカートリッジは発電機であるので、音溝のエネルギーを
正確に電気変換するには、カートリッジをしっかりと保持するため、
トーンアームは安定していることが要求される」としている。

その考えから見ると、WE-308の、ほとんど一本の棒の用に見える、
トーンアームは正しい姿なのだろう。

類推すると、田中はWE-308をストレート・タイプのトーン・アームと
したかったはず。ネックのオフセット角も無しにしたかったのでは?
それでは汎用性に乏しいように見え、営業的にネガティブになるので
言い訳的にわずかなオフセット角を付け、「最内周でトラッキングエラーを
ゼロにした設定です」としたのだと思う。

トラッキングエラー等の、様々なネガティブ要素がレコードの内周に
発生することから、WE-308の設計は一つの選択肢ではあった。

この一見奇妙な設計のトーン・アームであるが。
オフセット角を増やすのは難しくはない。
SAEC純正のヘッド・シェルは、フォノカートリッジ取付用に穴でなく
2組のビス用レーンがある形状だ。

「最内周でトラッキング・エラーゼロなんてやり過ぎだ。気持ち悪い」

と考えるなら、ヘッドシェル取付角度を内側に傾け、オフセット角を
増やせばいい。これはメーカー推奨の逃げ道でもある。

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トーンアームはストレート・タイプであるべきだ、というテキスト。
トーンアームネックの曲がりと、サイドフォースが再生音を歪める、という意見。

  トーンアームとターンテーブル1 FIDELIX  中川伸

レコードプレイヤーセッティングの難しさを逆説的に否定した考察。
いわゆる「オーバーハング調整」で、10ミリ程度の誤差は無視して良い。

  トラッキングエラー角に関する考察 箱船航海日誌 2009年6月
  http://kuzutetu.cside3.jp/diary0906.htm

あまり参考にはならないが。
   BBS SAEC同好会
   http://miyakoshi.mydns.jp/saec/bbs/cyclamen.cgi?tree=r4405



























WE-308 early with LUX PD121

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