2018年1月26日金曜日

DD-5 SPEED CONT. TROUBLE

MICRO DD-5の故障事例。

70年代のレコードプレイヤーを扱っているが、故障のクレームを受けた記憶は殆ど無い。ゼロではなく、3、4件の事例を覚えている。製品化して出荷した数からすると、信頼性は高いと自負している。

ただ、商品化中に故障が判明して断念、と言う事例はある。SL-10も、SL-1200もあった。出品時にきちんと商品化したプレイヤーの信頼性は低くはないのではないか、と思っている。

DD-5、「速度がノー・コントロール状態になる」という事だった。もちろん整備は行っていて、手元にあったときには何の不安もなかった。

ユーザーがビギナーのため、状況がよくわからなかったが。「33回転だけ、異常が出る」ということで、故障を確信し、返送を受ける。

「45回転は問題ない。33回転が異常」というのなら、故障箇所はわかる。サーボ・アンプ以前の、抵抗回路の異常だ。アンプ本体の半導体、トランジスタやダイオードの劣化なら、どの回転数も異常になる。

---

チェックを始めると、1時間以内に異常が出た。33回転が極端に早くなってしまう。33の抵抗値が極端に減少するためだろう。





















速度切り替えS/Wを分解、清掃する。エレメントの劣化のため、使用中に抵抗値が変化することは起こりうる。密閉型のS/Wのため、分解は困難。正直、したくない仕事。手順を踏み、一つ一つパーツを剥がすと、「ぽろ」とバラバラになる。再組立を考えると、「ぽろ」は有り難いとは思えない。エレメントに、#3000程度のペーパーを通す。

さらに、速度微調整VRを新品交換。10KΩ。もちろん、事前に調整したパーツだ。

さて、両者を交換し、再テスト。異常はまったく改善しない。意を決して、モーター制御基板上の速度微調整VRを交換する。




























問題のVRを剥がそうとしてのだが、軽く力を加えるとバラバラになってしまった。20KΩ、設定値は約9.2K。半田を剥がし、在庫品と交換する。

組み立てて走行テスト。全く問題なく回転する。やはりこのVRの劣化だったのだろうか。大変まれなケースだが、「よくあること」との説もある。
人の手に触れるパーツではないので、劣化原因は不明。熱による、金属疲労なのか。

---

さて、再出荷。これでお終い、と思っていたが。「また同じ現象になる」というクレームを受け、再度返送してもらう。「33も45も異常だ」と言うことなので、どうしようもないのか?回路基板の半田不良か、半導体の劣化、が予想できるが。正直、こうなると修理コストはペイしないのだ。

とりあえず、自分のメイン機と交換し、日常的に使ってみる。全く異常は出ない。

「そもそも、異常は出るはずはないのだ」とうそぶいてしまう。

しかし異常はあった。10時間以上回転させたあげく、やはりノー・コントロール状態。異常に速度が速くなるのは33回転のみで、45回転は異常は出ない。速度切替えS/Wを何度も操作しても変化はない。電源を切り、30分ほど冷ますと、まったく正常になる。その後は、10時間以上のテストをしても正常だ。

やはり、速度微調整回路、周辺部の配線不良、半田クラックなのでは?

念のために、速度切り替えS/W、速度微調整VRの配線をやり直す。その上で、モーター制御基板上の速度微調整VR周辺を見直した。

交換したパーツなので、本来異常は出るはずはない。念のために、33回転のVRを基板から剥がす。その際に、パターンの剥がれを発見する。前回、VRを剥がした際に壊してしまったのだろう。この部分の導通が不完全なため、回転中の熱で基板全体が熱せられると抵抗値が異常になったのではないか?

ユーザーは、45回転の異常もクレームしている。45回転も異常だとしたら、33回転のVR半田エラーが原因という仮説は成り立たない。

しかし、現状で33回転のみの回転が異常なら、この半田エラーが原因としてつじつまは合うのだ。

そもそも、45回転のVRも劣化していたのではないか?そのために、ユーザーの使用中には異常が出た、と言う可能性はある。

結局、33回転、45回転の制御器盤上VRを交換する。33の傷んだパターンはジャンパー線を飛ばす。その上で、周辺パターンを注意深く再半田する。この問題が原因なら、これで完了のはずだ。

































半固定VRを交換した、モーター制御回路基板

組立を行い、この状態で20時間以上ランさせているが、異常は出ない。これで解決としたいところだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿