LUX PD121 / 131 トーンアーム・ベース
カメラのレンズのように、バヨネットマウント式。発売時のウリは、アームベースを簡単に交換できる、と言うことだったようだ。
実際にはそれほど簡単に交換できない。アームを搭載して、シャシーに取り付けるのはレンズのような軽いものを付け替えるのとはわけが違った。
「トーンアームケーブルベースを交換できないことはない」
程度に受け取った方がよい。シャシー側のスプリングでベースを密着させる。そのため、脱着には大きな力が必要だ。トーンアームを取り付けたまま、アームベースを取り外そうとすると、アームを壊す恐れがある。脱着前には、必ずトーンアームを取り外す。
アームベースの爪は割れていることが多い。脱着時に大きな力が加わるせいだろう。私が扱った経験では、半数ぐらいのベースは爪が割れている。
状態にもよるが、このの爪が割れていると、アームベースとシャシーとの密着が甘くなる。アームベースがぐらつくのだ。その場合は厚紙でガスケットを作り、アームベースとシャシーの接合面に貼り付ける。1から2ミリ程度の厚さでよい。これでしっかりアームベースは固定できる。
PD121 with TB-S
LUX PD121。アームベース、TB-Sを標準添付して出荷された。側面から見て、シルバーに輝いて見えるのがPD121。131は、アンダーシャシーと同じグレーで塗装されている。
PD131 UNDER CHASSIS
フォノモーターと、トーンアームを一体として結合したい、というデザイナーの意図が読み取れる。上記の、比較的ひよわなアームベースのため、この初期の目的が実現されているかどうかは意見が分かれる。
真鍮のブロックから削り出された、重いアームベースをラックスは後に供給した。前述の「ひ弱な」アームベースの問題に対する改善だろう。
モーターの取付ボルトが3本なので、PD131とわかる。それ以外は、121/131の区別は出来ない。モーターの制御回路は、それ自身の底面に組み込まれている。なので、「買ってきた」OEMモーターを、シャシーにそのまま組み込んだだけ、と言える。
PD131 WITH SME 3009 S2 IMPROVED ON TB-S
PD131に載った3009。アームベースはTB-S。トーンアーム自体の美しさを撮影するのならこのフレーミングだが。実際に、ユーザーがレコードを演奏する差には、この角度で見ることはないだろう。
PD121/131 ベースプレートの例
TB-G、スピンドルからの距離が230mm、取付穴が約31mm。一番一般的なトーンアーム取付のための寸法だ。DA-305、309、FR-64等のアームが使用できる。
TB-S、SME 3009シリーズ用。S2 IMPROVED、S3、3Sで使用できる。
アームベースの在庫は必ず聞いて下さい。貴重なので、あまり売りたくはないのですが、無いわけでもありません。「何々のアームが使いたい」「こんなアームを使いたい。どのようなアームがいいですか?」等々。
このアームベースの形からわかること。PD121/131は、コンパクトなシステムです。実際に使用できるのは、実効長245mmクラスがせいぜい。SAECのWE-308では、演奏中にダストカバーを閉じられない。
BROKEN BASE PLATE PD121/131
ベースプレートを裏面から見た。アルミの板を、プラスチックで裏打ちしている。大変頑丈に作られていることがわかる。それでも、爪が割れている。
アームベースの爪が割れ、アンダーシャシーとの噛み合いが甘くなってしまった場合。この接合面にガスケットを貼り付ける。何でも良い。厚紙でも、プラスチックでも。あまりきつくはまると、2度と取り外せなくなる。私は森永DARSの箱を切り、2枚から3枚重ねて貼り付ける。それでぴたりと納まる。